現役薬剤師のヒトリゴト

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舌苔とは?口臭の原因~除去と予防~

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 子供の歯磨きをしていると「舌が赤くてきれいだなー」とよく思います。

アラフォーの自分の舌と比べると全然違うのがわかります。

自分の舌は少し白くなっているわけですが、これの正体は【舌苔(ぜったい)】と言われています。

今回は、舌苔の正体や除去・予防法について勉強したいと思います。

舌苔とは?

舌苔とは舌にたまった「垢」のことで、食べ物のカスや細菌、古くなって剥がれ落ちた粘膜がたまってできたものです。

必要がないように思えますが、粘膜を保護する役割があるため多少は必要なものになります。ただし量が増えて厚くなってしまったり、黄色っぽくなったり、場合によっては黒ずんでしまうこともあります。そこまで進行してしまうと様々な症状がでてしまうことがありますので注意が必要です。

舌苔ができる原因

舌苔の「できやすさ」には個人差があります。いくつか原因を挙げてみたいと思います。

・口呼吸をしている(乾燥)

元々の癖や鼻が詰まっているなどで口呼吸になってしまってる人は実は結構たくさんいらしゃいます。口呼吸だと口が常に開いた状態になってしまい、口内が乾燥して唾液の量が減って舌苔がつきやすくなってしまいます。

・唾液の分泌量の低下

唾液には汚れを落としたり、細菌の増殖を抑える働きがあります。

唾液分泌が減る要因として乾燥以外には、食生活の乱れ・ストレス・噛む力の衰え・薬の副作用・病気などが考えられます。

・舌の位置が低い

アゴに舌がこすれることによって汚れや細菌を除去することができます。

骨格や舌の筋力の低下などで舌の位置が下がってしまうと、上アゴにこすりにくくなり舌苔がたまりやすくなります。

・胃腸の調子が悪い

口から胃、腸、肛門までは1つにつながっていて中医学的には1つの臓器として扱われています。なので胃腸に負担があり、調子が悪くなると口内炎ができたりと口内にも症状が出ることがあります。舌苔が増えるのもその1つです。

・清掃が不十分

単純に歯磨きが不十分だと汚れがたまってしまい、舌苔が増える原因になります。

 

舌苔が増えることによる不調

口臭

口臭の原因にはいろいろありますが、舌苔もその1つです。

口の中にいる細菌(嫌気性細菌)が舌苔中の古い粘膜や食べ物カスなどのたんぱく質を分解すると、揮発性の硫黄化合物が発生します。

この硫化水素が臭いの原因になるので、その元である舌苔を減らすことは口臭予防に有効です。

味覚障害

舌には味覚センサーとしての役割を持つ「味蕾(みらい)」が存在します。

味蕾の上に舌苔が重なりすぎると味を感じにくくなり、必然的に濃い味の料理になってしまうので、塩分などが増え健康にも支障をきたす恐れがあります。

誤嚥性肺炎

食べ物や唾液が食道ではなく、気道内に入ってしまって発症する肺炎のことです。

舌苔が増えて口の中の細菌が多くなっている状態だと、誤嚥した際に多くの細菌も取り込んでしまうことになりますので、肺炎のリスクも高まります。

 

舌苔の除去・予防方法

口臭が気になったり見た目で白く分厚くなっているようなら、日頃からケアが必要かもしれません。

ここでいくつかケア方法を挙げてみたいと思います。

・舌ブラシ・軟らかい布(ガーゼ等)を使う

歯磨きのついでにとか、一度にたくさんとりたいために歯ブラシで力強くこする人が多いですが、それは逆効果になります。舌に使うには歯ブラシは固すぎるし、毛先が細かいので舌を傷つける原因となります。

舌ブラシやタングクリーナーがおすすめです。ガーゼなどの軟らかい布でも代用できます。

舌用のクリーニングジェルなども最近は市販されているので検討してください。

舌磨きと言っても「磨く」ではなく「やさしくこする」程度で行います。

奥から手前に動かし、できれば一回ごとにブラシを洗ってください。往復はしないようにしましょう。

一度にすべて取り除こうとして、力を入れすぎたり何度も行うのも傷つけてしまうので逆効果ですので、少しづつ毎日行うようにしましょう。

・薬用のマウスウォッシュを使う

時間がないときや、舌磨きにプラスアルファするのにお勧めです。

併用する場合は舌磨き後のほうが殺菌作用は効果的なようです。

・ガムをかむ

舌苔を物理的に除去できる効果もありますが、それよりも唾液分泌の増加が期待できます。

最後に 

舌苔の除去は、一般的にはそんなに気にする必要はないのかと思いますが、口臭が気になる方や見た目的に白く分厚くなっているようなら、除去する必要があるかもしれません。心配な方は一度歯医者で相談してみるのがいいかもしれません。

また、普段から歯磨きをしっかり行い、口の中が乾燥しないように注意するのも大事です。