ロタウイルス感染症~予防法・治療法~
こんにちは。
春になり気温も上がり始め過ごしやすくなってきました。
インフルエンザや花粉症もピークを過ぎましたが、この時期から流行し始める病気もいくつかあるので注意が必要です。
今回は、その中のひとつである「ロタウイルス感染症」について勉強したいと思います。
ロタウイルス感染症とは
感染性胃腸炎は「細菌性胃腸炎」と「ウイルス性胃腸炎」に分けられます。
ロタウイルス感染症は、名前の通りにウイルス性胃腸炎に分類されます。
生後3か月までの乳児は感染しても無症状のことが多く、6か月以降2歳未満が1番重症化しやすく、ほとんど全ての子供が5歳ごろまでに感染します。
脱水などで重症化すると入院治療が必要なケースもあるので注意が必要です。
年長児や成人は感染しても重症化することはほとんどありません。
主な症状
症状としては、嘔吐・下痢・発熱が主な特徴で、初期に発熱と嘔吐がみられ、その後下痢が続くことが多く、前触れもなく突然発症します。
発熱は長引くことは少なく、半日から1日が多い。38度台が多いが40度になることもまれにあります。
嘔吐は1日から2日で落ち着くことが多く、長引くことは少ないですが期間中の嘔吐回数は多く、脱水に注意が必要です。
下痢は水様性の白色~黄白色便で、長引いたとしても7日くらいで改善されます。
まれに合併症として、けいれんや脳炎を起こすこともあるので注意が必要です。
ノロウイルスとの違い
ウイルス性胃腸炎で有名なものに誰もが一度は聞いたことがある「ノロウイルス感染症」があります。
症状に類似点が多いので区別がつきにくいですが、簡単に違いを挙げてみたいと思います。
ロタウイルス | ノロウイルス | |
---|---|---|
感染経路 | 主に糞口感染 | 主に糞口感染(食中毒) |
発症しやすい年齢 | 乳幼児(5歳未満) | 年齢に関係なくだれでも |
症状の持続時間 | 2~8日間 | 1~5日 |
流行期 | 冬の終わりから春 | 晩秋~冬 |
引用元:LovesBaby.jp
一般的には、ロタは下痢がひどく、ノロは嘔吐がひどいと言われることがありますが、
個人差も大きいため一概にはそこで区別は難しいです。
季節的なところと、発症年齢で違いがあるので大人が重症化してるときはほとんどがノロウイルスかと思われます。
治療方法
ロタウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。
嘔吐や下痢による脱水症状にたいして、こまめな水分補給を行い、重症化してる場合によっては医療機関での点滴療法・薬物療法を検討します。
嘔吐・下痢がひどいからと慌てて水分をとらせてしまうと、胃腸に負担がかかり吐き気を誘発してしまうことがありますので、少量(10~15mL/回)をスポイトやスプーンを使って飲ませるというより口の中を濡らすような感覚でこまめに与えてください。
冷たいと胃腸への負担になるので常温のものを与えてください。
脱水症状の改善には水分とミネラル(ナトリウムなど)が必要です。水やお茶よりも経口補水液が適しています。スポーツドリンクでも構いませんが塩分が少ないので注意を。
(ジュースや牛乳も胃腸への負担が大きいので避けてください。)
ご自宅にない場合は、簡単に作ることができます。
・水・・・1リットル
・食塩・・3グラム
・砂糖・・40グラム
これで、自家製の経口補水液の出来上がりです。
病院で薬物療法が必要となった場合、吐き気止めや下痢止めはウイルスを体の中に溜め込んでしまうので通常は使いません。整腸剤くらいです。
(長引いたり、体力の心配があるときはつかうこともあります。)
感染経路
感染は、主に接触感染と経口感染です。
感染者の吐瀉物、糞便から直接的に感染するケースと汚染された食べ物や物(ドアノブ・手すりなど)から間接的に感染するケースがあります。
感染者の糞便中に一番ウイルスが存在していて、感染力が強いのは発症2日前から発症10日後と言われています。
感染予防の方法
感染拡大を防止するためには、感染者の吐瀉物や排泄物、また周りの物(床やドアノブなど)を速やかに適切に廃棄・消毒する必要があります。
時間がたてばたつほど、空気中にも浮遊してしまい感染の可能性が増してしまいますので注意してください。
効果的な消毒剤
・アルコール消毒に強い
・高温(熱)に強い
・感染力が非常に強い
のが特徴ですので、一般的に家庭に普及している消毒用アルコールではあまり効果が期待できません。
そこで使用するのは、
・塩素系漂白剤(0.1%以上に薄めたもの)・・・家庭で薄めて使用してください。
・酸性アルコール消毒剤(ロタやノロに有効)・・・ドラックストアなどで売ってます。
このどちらかを使用してください。
廃棄・消毒のポイント
・処理する人以外近づかない
・使い捨ての手袋・マスク・くつカバーなどを使用
・換気を十分に行う
・触った場所以外の広範囲の消毒も行う(床・壁・テーブルなど)
・汚染されたものや消毒に使ったものは可能なものはビニール袋に入れて密封し廃棄
・洗濯物は漂白剤で十分に消毒、可能であれば洗濯後は高温の乾燥機にかける。
・処理が終わったら手洗いうがいをしっかり行う。
トイレやキッチンは二次感染のリスクが高い場所ですので、特に念入りに消毒を行ってください。
ワクチンの接種
現在、2種類のロタウイルスワクチン(1価と5価)が日本国内では承認されています。対象者は乳児でいずれも任意での接種となります。
1価ロタウイルスワクチンは2回接種で、生後6~24週の間に。
5価ロタウイルスワクチンは3回接種で、生後6~32週の間です。
どちらも1回目の接種は14週6日までが推奨されています。
医療機関によってどちらのワクチンを採用してるかわかりませんが、どちらも重症化の予防や脳炎などの合併症を防ぐ効果が期待されているので、かかりつけの小児科医に相談してみてはいかがでしょうか?
最後に
ロタウイルスについて勉強してきました。
小さいお子さんの嘔吐・下痢は見ていてとてもつらい症状なので、この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
また、感染症全般にいえることですが、手洗いうがいや食事睡眠やしっかりとって体力をつけておくことが感染症予防に重要なことなので、日頃から習慣づけるようにしましょう。
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